イット・フォローズ レビューと考察
イット・フォローズ
総合:59点
怖さ:☆★★★★
物語・描写:★★★★★
キャスト・演技:☆☆★★★
音楽・演出:☆☆★★★
謎解き:☆★★★★
話の作り込み:☆★★★★
トラウマ要素:
【ストーリー】
主人公の女子大生ジェイは新しい彼氏のヒューとのデートを満喫していた。少し様子のおかしいヒューであったが、小さい頃からの憧れであった恋愛にジェイは夢中で、その晩初めて彼とセックスをする。
しかしその直後、ヒューによって無理やり眠らされたジェイが目を覚ますと、彼女は車椅子に拘束されていた。身動きの取れないジェイに対し、ヒューは「それ」を移したという。ヒューは続けて、「それ」が姿を変えながらどこまでもターゲットを歩いて追い続けること、「それ」に捕まると死んでしまうこと、ターゲットはセックスで移せることを説明し、「なるべく早く誰かに「それ」を移し、常に逃げ道を確保しろ。君が死ぬとターゲットは俺に戻ってしまう」と忠告する。
ジェイにはヒューの言うことが理解できなかったが、ヒューが見るように言ったその先には、確かにゆっくりと「それ」が迫ってきていた。
【レビュー】
「思いつき」だけで作ってしまった残念作品。
上に一応【ストーリー】と書いたものの、言ってる内容はただの「ルール設定」。
しかし映画自体が本当にこれだけで、ストーリーらしいストーリーが存在しない。
追ってくる「それ」のルールの穴を突いて助かる方法を模索する頭脳派ホラーでもないし、今自分が何番目のターゲットなのか分からないまま次々と被害者が出てくるパニックホラーでもないし、ラストに何か大どんでん返しや盛り上がりがあるわけでもない。
アイディアからのあまりの膨らみのなさに、「青鬼」みたいな逃走ゲームを元にした作品なのかなと思ったけど、実際は監督の子供時代の悪夢が元らしいので「思いつき」だけで撮ってしまったんだなぁ、と。
夢で見た怖さをありのまま表現するため、あえて脚色せずに作ったということなら幾分納得はできるけど、そういう感じでもなさそう。仮にそうだったとして、恐怖を伝えたいのなら内容を変えずにもっと不安を煽るような演出にはできたはず。
緊張を引き立たせるための緩和のシーンを作るとかいう初歩的なところから、恐怖を共有しやすい主観映像にするとか、いくらでも工夫しがいはありそうなのにそういった工夫を一切感じない。
低予算映画っていうことでも注目されているようだけど、観てる側としてはどうでもいいし、低予算感が伝わる残念作品でした。
ただ、いくつか良かったところも。
まず会話シーンが少ないという点。無音とかではないが会話に無駄がなく、表情や行動で伝える部分が多い点は少し特徴的!耳に残るキャッチーな音楽や、電子辞書などの不思議な小道具などと組み合わさって独特の世界観が作り出されてた。
それから最後までわからない「それ」の不気味さ。顔映されてガッカリみたいなこともないし、ラストのプールシーンはなかなか良かった!
あとは特に難しいことがないのですごく分かりやすいのが良かった点かと。笑
まぁ100分映画の割にはやっぱり薄っぺらいし、最後も雑な印象。これなら30分映画とかだった方が良さそうって思ってしまうような作品でした( ̄▽ ̄)
むしろこれを元にネトゲとか作ったら売れるかもね笑
【似てると思った映画】
特になし
【ネタバレ考察】
大してネタバレレビューで書くこともないけど、ルールにある「セックス」の役割とかを考えると面白いかもなぁと思ったので。
「それ」がグレッグを襲う時も性的な雰囲気があったし、一連の行動は「それ」が子孫を残すためという説
「それ」は感染症による幻覚症状で、セックスによって感染が拡がるのと平行して、見えた幻覚に対するルールが形成・普及していったという説
セックスは子供から大人への変化の象徴であり、大人になった人間は子供の頃には感じなかった責任や時間などに常に追われ続け、周囲を巻き込んで結局は死んでしまうという風刺的な説
こんな感じでセックスの役割を考えると色々と考察できて話が広がるなぁと思いました。